都合のよすぎる謝罪の言葉
インコさんと暮らして83日。
インコさんを放鳥中、
飼い主は、見失い探している最中、誤って、インコさんの尾羽を踏んでしまった。
幸い、羽も抜けなかった。
体重30グラム弱のインコさんの、
1000倍の30キロは優に超える飼い主
は、踏み潰さなかったことに安堵する。
インコさんを呼んでも、返事なかったし、
いつも部屋の上の方にいたから、
部屋着のズボンの裾に隠れたことに気がつかなかった。
「キキっ」
と、明らかに不機嫌な鳴き声がした。
「ごめんね」
と、謝ったけど。
聞こえなかったように、インコさんは、
さっさと飛び去った。
飼い主は、謝りの言葉を口にしたけれど、
確かに、自分が悪かったと認めたけど、
だから、許してもらえるはずというのは
甘い考えだ。
「謝罪すればいいだろう」的な考えは
は、調子良すぎになることがある。
でも、反対に、謝られたほうが、
その謝罪につけ込むことだってある。
「謝罪の誠意を見せてください」
そして、犯したミスには、とうてい不釣り合いな代償を求められてしまうことも。
外資系企業で、同じグループの外国の会社で、うかつに
I am sorry
と、言ってしまうと、相手が間違ったのに、
謝罪して本人が、相手を間違えさせたと、
非難の矛先が向いてしまいかねない。
謝った本人にも、言われた相手にも、
都合よく解釈できてしまうのが、
謝罪の言葉。
使い方は慎重でないといけない。
インコさんは、その後も、飼い主の方に乗って、スリスリ頭を飼い主に、すり寄せてきた。
飼い主は、インコさんから、
「さっきのことは許さない!」 と、
攻撃されることなく。
「だったら、誠意見せろ」と、
につけ込まれることもなく。
いつものように、おやすみの布かけをする。
