親毒の後遺症3
インコさんと暮らして52日。
今日は、早く帰宅できた。
インコさんに、「ただいま」
と告げてから、「おやすみ」
する時間まで、2時間ある。
ケージの扉を開けて、手を差し入れると、
手のひらにちょこんと乗る。
そのまま手を引くと、ケージから出られる。
そして、羽ばたいて、
部屋の中を飛び回り、あちこちかじり、時々鳴く。
あっという間に1時間経つ。
冬至を過ぎたばかりだから、
すぐに日が暮れてしまう。
いつのまにか外は夕闇。
「そろそろ、ケージに戻ってほしいな」
と、インコさんが乗る手を、
開いたままのケージの扉に近づける。
「ジジィっ」
と、(たぶん)、嫌と言って、飛び立った。
そのうち、また、手に乗る。
ケージに近づける。
飛び立つ。
の繰り返しを、数回繰り返す。
まるで、遊んでいるよう。
飼い主は、そろそろ夕食を摂りたいので、
イラついて(空腹は怒りっぽくなる)
「ホーム」
と一言、強く言ったら、
なんと、
ピョコンと、
あっさりケージの中に入りました。
これには、飼い主もびっくり。
言葉がわかったのか、
態度か表情で怒りが伝わったのか、
言うことを聞いてくれたインコさんに、
感謝の念が込み上げてくる。
毒親に育てられると、
毒親にされた嫌なことが、愛情表現と
思い込まされてしまう。
もともと、性的な被害は、相手が違う人なら、愛情表現になりうるから、紛らわしい。
それに比べて、毒親に浴びせられた酷い言葉は、どこをどう解釈しても、愛情表現とは、似ても似つかないが、何度も繰り返されると、外国語の様に思い込んでしまう。
自分が、好意を示したかった言葉が、逆に皮肉や嫌味として伝わってしまったことが、結構ある。
インコさんとは、出会ってからまだ52日。
なのに、気持ちが伝わって、とても嬉しい。
