無口の早口
おもちゃとしてケージにいれた粟の穂が、
すっかり枯れ木に早変わり。
つつく嘴の素早さに、圧倒されましたが。
一粒も残さずに綺麗に枝だけにした芸の細かさ、几帳面さにも驚き。
粟の枝は、何度も突かれて、もし痛みを感じられたら、痛かっただろうな。
嘴は、食べるため、さえずるためだけでなく、武器になる。
「あ、言ってしまった」と、後悔するのは、誰にでもあること。
口からでた言葉が武器となって、話し相手を傷つける。
血は出ないし、見えないけど、後々まで何度も、嫌な思いをさせられるほど、心に深い傷を負うこともある。
コミュ障だと、
「上手く言えない、伝わらないかもしれない」
不安に常につきまとわれるから、
なるべく話したくない。
だから無口。
しかし、どうしても話さなければならない時、
口を開くと、話し慣れていないから、
何をどの順番で話したらいいか迷う。
「とにかく言わなければ」と、焦って、
「あれもこれも言わなきゃ」と、
言いたいことを詰め込むから、
早口になる。
相手に否定されるのが怖いから、
相手の反応を目にするのが怖いから、
相手に話す隙を与えないように、
どんどん話すから、
ますます早さに拍車がかかる。
普段は無口なのに、話せば早口になる。
「焦らなくても大丈夫。ちゃんと聴いているよ。」
って、だれかに、家族みたいに
言ってもらっていたら、
その一言で、救われたのに。
親に、そんな優しくされたこと、
あったかな?
会社に入ってからは、
決まった言葉を話すから、
話しやすくなったけど。
相変わらず、ランチタイムの雑談は難しい。
でも、フレックスタイムや在宅勤務のおかげで、その機会は減っている。
コミュ障でも、生きやすくなる追い風が吹いている。
話せるように、その風に乗ってみたい。