嫌な気持ちをブロック
インコさんと暮らして88日。
8は、末広がりの縁起の良い数字。
何かお祝いに、新しいおもちゃでもと、
スマホで検索していたら、
どこからか、ガサガサ、ゴソゴソと、
音がする。
スマホから目を離すと、
インコさんが視界にいない。
音のする方に目を向けると、
そこには、ゴミ箱がある。
でも、インコさんの姿は見えない。
小刻みにゆれるゴミ箱の中をそっと覗くと、
底の方に、紙クズに紛れて、
メモ用紙をガジガジ噛んで、小さな穴
を開けているインコさんが見つかる。
「早く出て!」
と、口に出しかけて、
黙る。
まず言葉が通じないし、
手をゴミ箱に差し入れて、
上からインコさんを掴み取ると、
敵認定され、嫌われてしまいかねない。
そこで、周りの紙クズをつつくこと数分。
ようやく、飛び立って、ゴミ箱から出てきた。
ほっとした飼い主は、何を買おうとしていたのか、すっかり忘れてしまった。
「何かに夢中になれば、それ以外のことは、
忘れられる。」
飼い主は、いまさらのように気づく。
そういえば、
いつも間違えて、迷惑をかける同僚が、
また、今日も間違えていた。
いつもは、注意するが、今回はしなかった。
過去に何度も注意した時のことを
思い出したから。
飼い主の口から
注意する言葉が流れ出すと、
過去の同様のミスも思い出され、
だんだん感情が高ぶって、
嫌な気持ちになり、
ずっとネガティブな気持ちのまま仕事をする羽目になったことを思い出したから。
言っても仕方がないから、今回は、
自分で直すことにした。
「毎回手間かけて直すか、
注意して嫌な気持ちになるか?」
どちらも、嬉しくなる選択ではないけれど、
一度いやな気持ちになって、他の仕事に影響がでるほうが、被害は甚大だ。
今までいろんな間違えをされて、
どうしたら直せるかさんざん調べたから、
もう一人で直せる。
この同僚もスルーして、仕事に集中したら、
今日は、仕事が特にスムーズに進んだ。
