会社との距離
インコさんと暮らして63日。
今日は仕事始め(しごとはじめ)。
もう、仕事始めなんて、言わないのかもしれない。
インコさんに、慌ただしく、お別れの挨拶を告げる。
インコさんは、ずっと、出せ出せの激しい動きをしていて、その残像が目に焼きつく。
「ごめんね」
と、家を後にする。
会社の仕事を楽しめる人はそんなにいないかもしれないけど。
会社の人には会いたいと思う人は結構いるらしい。
飼い主には、会社で会いたい人はいない。
仕事以外で、関係を深めたいとは思えないから。
(このような点で、発達障害らしいと言われる)
他人と、雑談するのが、面倒に感じるから。
誰の機嫌を損ねない、誰もが仲良く話せる話題は、当たり障りのない、ネットやテレビで話題になっていることばかり。
酷い事件とか、有名人の不倫とか、流行りのファッションや新しくできたカフェとか、
その場限りを楽しむだけの会話。
会話を重ねて仲良くなれば、仕事に役立つかもしれないが、実は、そうでもない。
馴れ合ってしまって、本来やるべき仕事を他人に、なんの躊躇もなく押し付けてしまうことになりかねない。
以前の会社なら、それでも無理して、雑談についていったけど。
今から思うと、それは、正社員であることに、意味があったから。
契約社員やパート、派遣社員といった非正規雇用の人と、正社員には、給料以外の待遇の差が目立っていた。
賞与、昇給や昇格と言った、わかりやすい優遇に加えて、有給休暇や結婚休暇、何年も勤めると特別休暇もあった。
今の会社には、そんな正社員だけの優遇は、
ほんのお気持ち程度の賞与ぐらい。
契約更新の手間がないのは、大きな違いかもしれないが、会社にしがみつくほどの価値はあるかな?
そんな気持ちだから、さっさと仕事を終えて帰りたい。
だから、かえって仕事がサクサク進む。
会社と距離を置くのが、飼い主にとっては心地よい。
